イングランドサッカーを支え続けるBarclays

サッカーの世界には数多くのスポンサーが存在する。選手個人に付くスポンサーから、クラブスポンサーそしてリーグスポンサーと大小様々な契約がある。

大まかな役割は、個人スポンサーは選手個人をサポートし、クラブスポンサーはクラブをサポートし、リーグスポンサーはリーグをサポートする。そしてスポンサーは対価として何かしらの恩恵をそれぞれから受ける。

数多くのスポンサーの中でも、各リーグの創成期(ビジネス用語で表すなら幼年期~成長期)に欠かす事の出来ない最も重要なリーグスポンサーについて、【Barclays】を例にイングランド女子サッカーリーグ『FA WSL』と男子の『プレミアリーグ』の発展についてまとめました。

Barclays(バークレイズ)

【Barclays】=バークレイズは1728年創業のロンドンの国際金融グループ

本社はロンドンのCanary Wharf(カナリー・ワーフ)にあります。

日本支社は六本木ヒルズ(森タワー)にあります。

FA Women’s Super Leagueのスポンサー

まだまだ創成期であるイングランド女子サッカーリーグ(1部:FA Women’s Super League)ですが、Barclaysが冠スポンサーになったのは、つい最近の2019-20シーズンからです。
その額は、3年で1000万ポンド(約15億円)を超えると言われており、イギリスの女子スポーツ界で最高金額の契約です。

Barclaysの女子サッカースポンサーとしての歴史はまだ1年足らずであり、その1年目はコロナウイルスによる影響でリーグ戦は中断となってしまいました。しかし、その功績は早くも結果として表れています。プロモーション活動のサポートやLIVE放送によるファンの獲得など、あらゆる側面で確実な成果を上げました。

元イングランド代表のイアン・ライトがバークレイズ・フットボール・アンバサダーとして活動しています。

圧倒的な観客動員記録の樹立

Barclaysが女子サッカーのスポンサーになる以前の最高観客動員数は5265人でした。
これは2018-19シーズンの終盤、2019年4月28日のアーセナルが優勝を決めた試合です。

しかし、Barclaysがスポンサーとなり僅か数か月後、圧倒的な記録を樹立します。
2019-20シーズンの開幕戦、2019年9月7日のマンチェスター・シティ vs マンチェスター・ユナイテッドのダービー戦で31,213人を動員させました。
優勝決定戦でもなく、開幕戦でこれまでの記録の約6倍のサポーターを集めたのは快挙でしかありません。これによりさらにイングランド国民の女子サッカーへの関心が高まります。

【2万人超えを多数記録】

2019年9月8日 チェルシー vs トッテナム・ホットスパー:24,564人

2019年9月29日 ウェストハム・ユナイテッド vs トッテナム・ホットスパー:24,790人

2019年11月17日 リヴァプール vs エバートン:23,500人

2019年11月17日 トッテナム・ホットスパー vs アーセナル:38,262人

女子サッカーへの関心はリーグ戦だけに留まらず、代表戦にも大きな影響を与え、親善試合としては女子サッカーの歴代最高記録も樹立しました。
2019年11月9日 イングランド代表 vs ドイツ代表:77,768人

FA WSLのコロナ中断前までの平均観客動員数は3,072人で、前年の1,010人の3倍となりました。シーズンが中断されず、シーズン終盤の重要な試合が行われていたら、さらなる集客が可能だったに違いありません。

The FA Player

スポンサー初年度からスタートした新サービスが『The FA Player』というアプリです。
女子1部リーグの全試合と2部リーグやカップ戦をライブ配信で視聴できるだけでなく、女子イングランド代表の情報やハイライトなど多数のコンテンツが楽しめるサービスを無料で提供しました。

全世界で視聴できるフリーコンテンツとしており、150ヵ国以上で視聴されています。The FA Playerは約10万人のユーザー登録があり、チェルシー vs トッテナム・ホットスパーの試合ではテレビ放送と合わせて27万人の視聴数を記録しました。

さらに2020-21シーズンからは、アメリカのNBC Sports、ドイツ・イタリアのDAZNでも放送される事が決定しました。イングランドの女子サッカー界も数年後には放映権が収益の主軸になっていく流れができそうです。
※詳細はコチラ

視聴地域の拡大は、各クラブがアメリカ、オーストラリア、フランス、オランダ、スペイン、ドイツ、韓国と各国のスター選手を連れて来ていることにも関連しています。つい最近では、アメリカ代表のモーガン選手が、そして日本からもなでしこジャパンの岩渕真奈選手がアストン・ヴィラ女子に加入しました。

世界で視聴されるようになったイングランド女子サッカーリーグはこの先、放映権収入も手にし、さらに大きなリーグへと発展していくに違いありません。

数年前までバークレイズが冠スポンサーとして関わった男子のプレミアリーグはその成長と共に放映料が爆速で高騰しました。

Premier Leagueのスポンサー

Barclaysがイングランド・プレミアリーグ(2007シーズンまでの名称はプレミアシップ)の冠(タイトル)スポンサーになったのは2004年からですが、バークレイカード時代を含めると2001年からになります。

未だにプレミアリーグの冠スポンサーと言えばバークレイズという印象が色濃く残っていますが、プレミアリーグとの冠スポンサー契約は2015-2016シーズンまでで終了し、現在はオフィシャルパートナーとしてサポートしています。

プレミアリーグ放映権の推移

バークレイズが関わる前、1997-2001シーズンの放映権料は4年で6.7ポンド(約1000億円)でしたが、バークレイズがリーグスポンサーになって以降、
2001-2004シーズンは3年で12億ポンド(1800億円)と跳ね上がりました。その後、
2004-2007シーズンは3年で10億ポンド(1500億円)と落ち着きますが、
2007-2010シーズンは3年で17億ポンド(2550億円)、
2010-2013シーズンは3年で18億ポンド(2700億円)と増え、ついに
2013-2016シーズンには3年で30億ポンド(4500億円)の大台に到達しました。

2016-17シーズンからは冠スポンサーを持たないというプレミアリーグの方針により、2015-16シーズンでバークレイズは冠スポンサー契約を終了しますが、プレミアリーグがこれ程までのビッグビジネスへと発展したのは彼らの貢献が無ければあり得なかった事です。

2015-16シーズンと言えば、岡崎慎司が所属していたレスター・シティが優勝したシーズンです。優勝トロフィーを見ると、このシーズンまではトロフィーとリボンに『Barclays』の文字が入っていますが、翌シーズンのチェルシーが優勝した際には『Barclays』の文字は消え、『Premier League』のみが刻印・記載されています。

【2015-16 レスター・シティ FC】

【2016-17 チェルシー FC】

冠スポンサーを撤廃したプレミアリーグは立ち上げ時期である創成期をとてつもないスピードで駆け上がり、現在は成長期∼成熟期に入ってきています。

イングランド・プレミアリーグは、現在世界200ヵ国以上で放送され、その視聴者数は40億人を超える世界最大のスポーツリーグに発展しました。

尚、2019-20シーズンのプレミアリーグの各クラブの胸スポンサーをジャンルごとに見てみると、
ギャンブル系:10クラブ
金融系:4クラブ
自動車・バイク系:2クラブ
航空系:2クラブ
その他:2クラブ

ギャンブル系を除くと金融系が2番目に多い業種である事からプレミアリーグ(サッカー/スポーツ)との相性が良い事が分かります。
※TVCMや一般的な広告を国内で打てない各国のギャンブル系企業がプレミアリーグを使って自社アピールをすすめている。

最後に

イングランドサッカーの歴史は古く、国内リーグは1888年にスタートしました。しかし、プレミアリーグとしてここまで大きくなったのはつい最近の事です。プレミアリーグの創設は1992年でJリーグ創設の僅か1年前。Jリーグも創設前は日本サッカーリーグとして1965年から国内リーグは始まっていました。ほぼ同時期にスタートした日英の新リーグはこれほどまでに大きな差が開いてしまいました。

日本女子サッカーはこれからWEリーグがスタートします。スポンサーを各クラブに任せていますが、リーグ(サッカー協会)からの手厚い支援がないと経営難から撤退するクラブも出てきます。競争力の劣ったリーグはサポーターの関心も薄くなり、若い世代の競技人口も増えずリーグ撤廃ということにもなりかねません。女子サッカー大国のアメリカでさえリーグ撤廃を経験しています。

リーグスポンサーにクラブの金銭的サポートをして欲しい訳ではなく、WEリーグがもっと話題になるような仕掛けをつくり、開幕までに期待値が最高潮に達し、スタジアムがサポーターで埋め尽くされ大観衆の中でプレーする選手達をテレビで多くの方が観ている。このような状況をつくるようにもっと投資するべきだと思います。

日本女子サッカー(WEリーグ)には是非ともイングランド女子サッカーを参考にして欲しいと思います。


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