『海外でサッカーの仕事に携わる』を追求し、アジアサッカー連盟スタッフに!

椙山 正弘
イギリスのメトロポリタン大学院にてスポーツマネジメントを学び、
英国前田学園のLJJFC (ロンドンジャパニーズジュニアフットボールクラブ) にてマネージャー兼コーチを務める。
現在はAFC (アジアサッカー連盟) スタッフとしてアジアカップ2019の運営にも携わる、Football Administrator

AFC(アジアサッカー連盟)には日本人スタッフが5名いる。
その数少ない日本人の中でも日本サッカー協会からの派遣というカタチではなく、自力で今のポジションに就かれた椙山正弘氏。

今回インタビューさせて頂いた椙山氏(以後、まささんと呼びます)は、実は12年前に筆者がサッカー留学をした際にお世話になったロンドンの恩人の一人である。

当時のまささんは、英国前田学園の少年サッカーチームである、LJJFCにてコーチをされていた。
筆者は同じく前田学園が運営するISAのサッカー留学コースで渡英し、LJJFCコーチのアシスタントをしていた。

一緒に引っ越しを手伝ってくれた事、激ウマの男飯(日本食)をふるまってくれた事など想い出は尽きない。

その時は、まささんが海外サッカー界で働くという野望を持っている事はお聞きしていなかったので、AFCスタッフになられた事を知った時は驚いた。

こうしてまささんが働かれていた場所で10年以上経った今、筆者が働くという不思議なご縁を感じている。


AFCに入るまでのキャリア

 

坂井
こうしてお聞きするのも初めてになるかと思いますが、まずは、まささんのサッカーキャリアを簡単に教えてください。

 

まささん
サッカーは物心ついた時から好きでしたが、理由あって実際にサッカーをプレーし始めたのは高校からです。
地元群馬県桐生市の公立高校で、自分が現役の頃の最高成績は、冬の高校選手権群馬県予選ベスト16。
しかも自分はレギュラーではありませんでした。
ただ、とにかく高校の3年間はサッカー漬けでした。本当に楽しかったです。

大学ではサッカーはやらず、バドミントンをやりました。
たまに友人とサッカーの試合をすることはありました。
大学を卒業して、渡英するまで、社会人のチームでまたプレーを再開しました。
地元桐生市の4部リーグ。
上から数えたら一体何部なんだ?(笑)ってくらいピラミッドの底辺ですが、毎週末友人と集まってサッカーするのが好きで、本当に楽しい時間を過ごしました。

 

坂井
サッカー以外にもバドミントンをやられていたのは初耳でした。

趣味や特技を仕事にするのは、実際はなかなかできない事の方が多いと思うのですが、まささんが好きだったサッカーを仕事にしようと、サッカー界、そして海外で働こうと思われたキッカケを教えてください。

 

まささん
根柢の理由は「サッカーが好きだから」に尽きますが、大きなきっかけとなったのは、同年代サッカー選手達の海外での活躍です。
中田英寿選手を筆頭に、中村俊輔選手や小野伸二選手など、多くの同年代選手たちが海外で活躍している時代が、私の大学生時代と重なります。
彼らの活躍をインターネットで見て、勝手に私も海外で盛り上がりたい!と思うようになっていました。
また、その時丁度英語の勉強を始めた頃で、海外での生活というものに興味を持ち出していたのも影響したかもしれません。
そして、当時アメリカメジャーリーグで活躍していた新庄選手の通訳の方をメディアで拝見し、彼のようにスポーツ選手をサポートする立場で海外で活躍するという選択肢を知ります。
それらの要素が合致して、『海外でサッカーの仕事に携わる』という方向性が生まれました。

 

イギリス大学院留学を選択

 

坂井
彼ら名選手たちの活躍が同世代のまささんの気持ちを駆り立てたんですね。
『海外でサッカーに仕事に携わる』という考えを持たれた後、いくつか方法があったかと思いますが、その中でもなぜ大学院留学だったのか。
そしてメトロポリタン大学を選ばれた理由も教えてください。

 

まささん
『海外でサッカーの仕事に携わる』ことが自分の方向性に決まった当時、具体的にどのような仕事をしたいとか、どの国のどのような団体で働きたいとかは決まっていませんでした。
また、私にはそれを実現するためのアイデアや、サッカー界でのコネクションや職業経験も、全くありませんでした。
そこで、情報収集の末たどり着いたのが、海外のスポーツビジネス系大学院。
そこで学位を取得することで、就職の可能性を見い出すことにしました。

選択肢は大きく分けて二つ。
アメリカかイギリスか。
大学で学ぶスポーツマネジメントというアカデミックの質に関しては、アメリカの方が高いのではないかと考えていましたが、サッカーの環境、そしてその後の就職活動まで見据え、ヨーロッパにあるイギリスを選びました。

今や名の知れたFIFAマスターも含め、合計4つのイギリスにあるスポーツマネジメント系大学院に願書を出しました。
結果、ロンドン大学と、ロンドンメトロポリタン大学から合格通知が届きました。
ロンドン大学の方が格が上ですが、一年間の準備コース参加が条件だったため、資金面を考慮して断念。結果、ロンドンメトロポリタン大学の大学院に入学することになりました。
余談ですが、同大学は、決して一流の大学ではありません。
それでも、「ロンドン」が名前に入っているので問題ないと思いました。
直感で、「一体どれだけの人が、ロンドンメトロポリタン大学が一流でないということを気にするだろうか? それよりも、ロンドンの大学だからまあそれなりなんだろうと、ロンドンという響きに身を任せる人の方が多いのではないだろうか?」と思いました。
実際、それでなんとかなってきましたので、そうだったのだと思います。

 

坂井
確かに海外の人から見たら、日本の大学もどこの大学がどのレベルで何を学べるかまでは理解してない方が多いですもんね。
面白おかしくお話頂きましたが、かなり的を得ていますよね。

ロンドンメトロポリタン大学の施設(環境)や授業でこれは凄いな!役に立った!というのはどんなことですか?

 

まささん
ロンドンメトロポリタン大学は、ロンドンの3か所に点在し、それぞれの校舎も街中にあります。
私が先行していたスポーツマネジメント学科の生徒が通う校舎は、とても小さいものでしたが、勉強するには十分に用が足りました。
良かったのは、校舎がアーセナルFCのエミレーツスタジアムのすぐそばにあること。
私が通っていた2005年当時、アーセナルFCのスタジアムがハイバリースタジアムから現在のエミレーツスタジアムに移行する時期でした。
私は、勉強の合間、外でコーヒーを飲みながらエミレーツスタジアムが出来上がっていく姿を毎日見ていました。
それが、アーセナルFCを好きになるきっかけです。

 

坂井
あのスタジアムが出来上がる様子を間近で見届けたのは凄い経験ですね。

まささん
私は、渡英する前に、日本のスポーツマネジメントに関する書物を読み漁っておきました。
ですので、大学での講義は、ほとんど知っている内容でした。
講義には英語の勉強のつもりで通っていました。
一つだけ、Sport Developmentという授業は、とても勉強になりました。
スポーツをどのように発展させていくか、スポーツを通して社会発展にどのように貢献できるのか、そしてそれらの活動にはどのような組織や人が関わっているのか、等。
その授業内容は、後のロンドンでの仕事や、現在のAFCでの仕事にも関係する内容です。

また、私は現在マレーシアの大学で、Sport Developmentに関する博士論文を書いています。
どうやら、この『Sport Development』という分野は、私の一生に深く関わってくるもののようです。

 

坂井
私も留学する前まで東海大学のスポーツ・レジャーマネジメント学科に通っていましたが、まだまだ新設して3年目で卒業生も出ておらず、浪人して入ったにも関わらずなかなか学べるものが少なく残念な気持ちでした。(それもあって、1年半で中退してイギリスに留学しました。)
当時でも現地の日本人はまだまだ多くはなかったですが、その頃よりもさらに前からイギリスの大学院に留学し、本格的にスポーツマネジメントを学んでいたまささんの行動力に改めて驚かされます。

Sport Developmentを学ばれたまささんですが、大学卒業後からAFC入社までの道のりを教えてください。

 

AFCのインターン経験と英国前田学園の経験

 

まささん
大学院卒業時、私は在学中に行ったインターンシップでお世話になったAFCへの就職に的を絞っていました。
それは、インターンシップを通して「発展途上」のアジアサッカーを知り、アジア全体のサッカー発展に寄与できるAFCでの業務というものに魅せられたからです。
しかし、残念ながらそのタイミングでAFCからのオファーはありませんでした。

そんな時、ロンドンにある前田学園という日系教育・スポーツ機関から誘いがありました。
仕事内容は、前田学園傘下の幼稚園でお手伝いをしながら、LJJFCという日本人対象のサッカークラブのマネージャー兼コーチを務めること。

 

坂井
まささんと出会うキッカケになったところですね!

※恥ずかしながら12年前の写真(笑) 左がまささん、右が筆者

まささん
そうです!
一日の多くを幼稚園でのお手伝いがしめ、サッカーに関われる時間はわずか、同僚や仕事相手の多くが、日本人であるとのことでした。
それらをすべて考慮し、私は英国前田学園からの誘いを受けました。

何故なら、『海外』で『サッカーに携わる』ことを満たしていたからです。
その二つの条件を満たす環境下に留まることが、AFC行きにつなげれる最大の妥協点だと判断したからです。

前田学園・LJJFCでは、マネージャー兼コーチとして、サッカーという世界で働くための基礎を築くことができたと思っています。
クラブ、大会、コーチング、指導者養成、協会、サッカー発展プログラムなど、サッカーに関係する多くの要素に関わることにより、サッカー界における一つのラインを理解することができました。
予算規模の拡大や関係者の増大により、サッカー界はより複雑化していますが、核となるラインは変わっていません。
中心は選手であり、選手の発展に直接関わるコーチなどのテクニカルサポートがあり、選手の受け皿としてクラブ・教育機関・その他のサッカー組織が存在します。
選手のために大会が開催され、サッカー協会などの組織が大会開催を受け持つ。
大会(あるいは選手自体)にスポンサーが付き、クラブは大会を中心に興行を行い、それぞれに財政収入が入る。
その資金を、選手やクラブの強化に再投資することで、より魅力的な選手を生み出していく。
規模の大小あれど、それがサッカー界の一つのラインであることに、変わりはありません。

 

坂井
確かに仰る通りですね。
ヨーロッパの規模は大きすぎますが、どこの国、どのレベルでもこのラインは変わらないですね。

まだこのタイミングではAFCからのオファーは貰えてないんですよね?

 

まささん
はい。
イギリスで充実した日々を過ごす中、引き続き、定期的にAFCの友人には、イギリスでの仕事内容やサッカーに関する考えを共有しました。
それは、私を忘れるなという自己アピールであり、就職のチャンスがあったら知らせて欲しいというメッセージでもありました。

3年ほど経った時、姉にこんなことを言われました。
「ロンドンなんてそんな遠いところからメールでアピールして、本当にAFCの人達の心に響くと思う?」

 

坂井
強烈なベストアドバイスですね!

 

まささん
すぐに理由をつけて、マレーシアに再上陸しました。
AFCの友人達に挨拶回りをし、改めて自分はいつかここに戻ってきたい旨を伝えました。
すると、AFCのある部長が人を探しているらしいということで、早速その部長と面接をしました。
履歴書を渡し、自己アピールを面と向かって行いました。
ロンドンに帰り、連絡を待ちました。
残念ながら、そのポジションには他の人が決まったようですが、私の履歴書が同じくスタッフを探している別の部署の部長に渡りました。
その部長が、後日私を採用してくれました。

 

AFCの業務

 

坂井
凄い話ですね!
何かを待っているだけではなく、自ら動いてつかみ取る。
運やタイミングはアクションしてこそ引き寄せるものですよね。
これは日本でも大切な事ですが、海外においてはより重要視されるかと思います。
(AFCで働く日本人は5名。内JFAからの派遣スタッフは1名。)

それでは、AFCでの主な仕事内容を教えてください。
JFA (日本サッカー協会) との関りもあるのでしょうか?

 

まささん
私は技術部に所属し、グラスルーツサッカーを担当しています。
グラスルーツという言葉は、日本ではまだ新しい言葉かもしれません。
日本では良く草の根と訳され、AFCではエリートユースとプロフェッショナル以外すべてのサッカーを含む、と定義しています。
わかりやすく言うと、子供から大人まで、アマチュアのサッカー全般です。
そのグラスルーツサッカー発展のために、AFCに所属する47国のサッカー協会と連携を取り合います。

彼らのグラスルーツサッカー発展活動をサポートするのが、最も重要な使命です。
サポートの仕方には様々あります。

発展プログラムを企画・運営したり、発展促進のイベントを開催したり、各協会が情報交換できる機会を創出したり、等。
サポートの形は様々ですが、大切なことは、各国のグラスルーツサッカー発展活動はその国のサッカー協会が中心になって行うものであり、AFCはあくまで彼らのサポートを行う立場である、ということです。

まず第一に、グラスルーツサッカーはその国のサッカー文化そのものであり、その発展には国の風土や文化や人々が大きく関係してくるもの。
なので、その国の人たちが中心になって発展活動に取り組むべきだし、その方が効率的です。

次に、AFCが47ヶ国各地に出向いて発展活動を行うには、予算的にもマンパワー的にも限界があり、あまりにも非効率的であるということです。

日本のグラスルーツサッカーを考えた時に、例えば現場の一つは群馬県の桐生市にあるサッカークラブです。
そこにAFCが出向いてデモンストレーションを行うとします。
そこに参加した100人の子供達や20人の指導者たちは、その日に新しいことを学べるかもしれません。
しかし、その100人の子供達がそれからもずっと楽しく充実したサッカー人生を過ごせるようにAFCがサポートし続けることは、あまりにも難しく非効率的なのは明らかです。
しかし、グラスルーツサッカー発展を考える上で重要なのは、その群馬県桐生市の100人の子供達が、例えば70歳になってもサッカーを楽しめる環境を整える、ということなんです。

日本の例で言うと、AFCは日本サッカー協会が行っている活動を支援します。
日本サッカー協会は、都道府県サッカー協会と連携して、発展活動を行います。
都道府県サッカー協会は、市町村サッカー協会や、サッカークラブと連携し、地域のサッカー発展に貢献します。
日本の場合、この組織基盤がしっかりしているため、全国で広くグラスルーツサッカー発展活動が継続的に行われています。

坂井
分かりやすくご説明いただきありがとうございます。
グラスルーツの意味や目的がイメージできました。

グラスルーツとは異なる部分ですが、もう一つ気になってる活動をお聞きします。
AFCアジアカップ2019の運営も携わっていましたが、アジアならではの苦労や難しさなどはありましたか?

 

まささん
AFCという組織の、最も重要なミッションの一つは、大陸レベルでの大会を開催することです。
代表チーム、クラブ、ユース、女子、フットサル、ビーチサッカーなど、合計15以上の大会を開催していますが、その中で最も大きな規模の代表チームの大会が、4年に一度のアジアカップです。
規模が大きく、必要な人材も増えるため、AFCも大会以外の部署からスタッフを割り当てます。
私も、2015年オーストラリア大会に続き、今回のUAE大会にも割り当てられたということになります。

アジアカップは、基本的には、主催団体であるAFCが提示する基準を元に運営が行われますが、都合上開催国の特徴も所々で反映してきます。
例えば、開催国UAEアラブ首長国連邦の大きな特徴と言ったら、雨が極端に少ない砂漠の国、ということです。
通常、野外でのイベントでは天候への配慮が重要になりますが、砂漠の国UAEでは、雨の心配をしなくて良いのです。
今回のアジアカップでは、いくつかのスタジアムで屋根なしのチームベンチを採用しています。

 

坂井
なるほど!そういう例外の対応もしているんですね!

 

まささん
このレベルの大会で屋根なしのチームベンチはあまり採用されませんし、私は今まで見たことがありませんでした。
これが例えばマレーシアだと、スコールと呼ばれる嵐みたいな雨が降ることが頻繁にあるので、プランBを持つことが基本です。
大会中に、いくつかの試合が同時に行われる時(例えばグループステージの最終試合)には、一会場での雨による延期が他会場での試合にも影響を及ぼしかねないので、事前にしっかりシミュレーションしておくことが大切になります。

大会運営という枠組みの中で、最も柔軟な対応力が要求されるのは、やはり当日の試合オペレーションです。
試合毎に、そしてチーム毎に、運営で注意すべき懸念事項を読み、充分な準備を行い、そして当日は起こる事象に対して柔軟に対応していくことが要求されます。

 

坂井
何かまささんの関わった試合など、体験談はありますか?

 

まささん
例えば、私が携わったカリファ・ビン・ザイッドスタジアム(UAE アラブ首長国連邦)での1戦目、中国対キルギスタン。
この試合で一番大切なことは、このスタジアムでの初戦であるということ。
運営スタッフは経験豊富な人材がアジア諸国から選ばれ、また普段からそのスタジアムで働いている信用できるローカルスタッフにもサポートされていますが、それでも最初の試合を終えるまでは、スタッフ全員がそのスタジアムでの一連の流れを把握するのは難しい。
なので、初戦はとても慎重に、すべての要素において集中し何が起こっても対応できるように万全の準備が敷かれます。
この初戦を無事終えたときにようやく、皆でホッと一息つくことができたことを覚えています。

一方、次の試合ヨルダン対シリア戦では、スタジアムが満員になることが予想されたため、特にセキュリティーの問題に焦点が置かれました。
UAEにはたくさんのヨルダン人やシリア人が住んでいるらしく、案の定スタジアムは満員。
しっかり準備していたため、スタジアム内での観客対応は問題なくこなせました。
スタジアムの外で、チケットが手に入らない人達でごったがえすという事態に見舞われましたが、ローカルスタッフの柔軟な対応で事なきを得ました。

別の試合、日本対ウズベキスタン戦での注意事項は、メディア対応。
他の試合では大体20人~30人のテレビやマスコミ関係者が集まりますが、日本戦になるとメディアの数が他の試合に比べて4倍から5倍に膨れ上がります。

 

坂井
さすがに日本もアジアの中ではサッカー関心度は高い方なんですね。

 

まささん
日本戦の日本人メディアの多さは有名な話のようで、大会前からすでに日本戦に向けてのメディア対応は何度も議題に挙がっていました。
その甲斐もあり、日本戦当日のメディア対応は本当に素晴らしく、完璧だったと運営スタッフから称賛の声が上がっていました。

このような、各試合の運営における注意点は、アジアカップでは開催国の状況やはたまた国際情勢まで絡んでくるなかなか厄介な代物で、そこに対応できる柔軟性が必須です。
しかし、そこが国際大会運営の面白さであるとも言えます。

大会の楽しみ方の一つとして、試合そのものもしかり、対戦国に関して別の角度から注目してみると、各試合をより興味深く観戦できるかもしれませんね。

 

坂井
まさにその通りですよね。
ワールドカップなどの世界大会よりも、隣国する国同士が集まる大陸間の大会の方が歴史的な各国の関係性が絡み合い、政治的、宗教的な問題が出る可能性が高いんですね。
それを全て把握し、そして起こり得ることを事態を想定し準備するのは至難の業ですね。

そこを「面白さ」と語れるまささんは本当にお仕事を楽しまれているな~と感じます。

クラブ大会についてもお聞きしたいのですが、2018年のACL(アジアチャンピオンズリーグ)を日本の鹿島アントラーズが制しましたが、AFCとしての反応や評価などはありましたか?

まささん
日本サッカーの発展は、世界中で注目されています。
その注目度は、アジアでは特に顕著で、常にレスペクトされています。
それは、日本がいろいろな分野で結果を出しているからです。

男女共に、トップからユースレベルまで、更にフットサルやビーチサッカーでも、とにかく日本はしっかりと発展活動に取り組み、そして結果を出し続けている。
これは、とてつもないことです。
そんな中、唯一AFCのクラブ大会で結果がでない時期がありました。
浦和レッズとガンバ大阪がそれぞれ2007年2008年大会で優勝して以降、再度浦和レッズが2017年にタイトルを取るまでの約10年間、AFCクラブ最高峰の大会、ACLで日本のクラブがチャンピオンになることがありませんでした。
この時期、日本のクラブはどうしたんだ?と言われていました。
長いトンネルを抜け、浦和レッズが2017年チャンピオンに返り咲き、そして前回は鹿島アントラーズが優勝。
日本のクラブが2年連続でACLを制したことにより、AFCとしては、クラブでも強い日本が戻ってきた!という印象だと思います。

 

坂井
10年間もACLで優勝していなかったんですよね。
ヨーロッパ移籍が頻繁に行われ、代表選手のほとんどが海外組となり始めた時代で、この間のJリーグは少し寂しい気がしました。

ワールドカップ常連国ではありますが、アジアカップやACLでの結果が乏しいのは、韓国だけでなく中東のレベルが確実に上がってきていると感じています。

もう一つ、世界最大のイベントについて。
2022年にはカタールW杯が行われます。
今準備されている事や、まささんの意気込みを聞かせてください。

カタールW杯とその後

 

まささん
サッカー界、あるいは大きく言ってスポーツ界で、これから数年はアジアの時代と言われています。
それは、大きなスポーツイベントがアジアで開催されるからです。
2020年東京夏季オリンピックに続き、2022年には冬季オリンピックが北京で開催される。
そして、2022年にいよいよカタールW杯が開催されます。
多くの人々や組織が、これからのイベントに向かって準備していることと思います。
そして多くの人々や組織が、このチャンスをサッカー、あるいはスポーツ発展に活かすために試行錯誤していることを願います。

AFCとしても、カタールW杯サポートのために様々な動きを見せています。
あくまで主催はFIFAであり、開催はカタールの組織委員会が中心ですが、AFCとしてもタスクフォースを立ち上げ、カタールサッカー協会を全面的にサポートしていくことになるでしょう。
良いニュースは、開催国のカタール代表がアジアカップ2019を制し、アジアチャンピオンとしてW杯に参加すること。
ユース発展への大規模な投資が実り、その結果がトップチームに反映された。
素晴らしいモデルケースとして、自国開催でも是非活躍して欲しいと思っています。

 

坂井
これほどのビッグイベントが連続してアジアで行われることは前例がないですもんね。
2023年の女子W杯にも日本も開催国に名乗りをあげていますし。
(さらに2019年には日本でラグビーワールドカップが開催)

カタールのアジアカップ優勝は予想できていなかったですが、かなり育成に投資されたと聞きました。
ここら辺のお話はまたワールドカップの結果も踏まえていつか聞かせてください。

最後に、まささんの今後の目標を聞かせてください。

 

まささん
大きな枠で言うと、私は今『海外でサッカーの仕事に携わる』という旅路の途中です。
AFCという職場で、アジアサッカー発展に貢献できる。
尊敬できる同僚たちに囲まれ、新しい(信じられないような)ことが頻繁に起こる刺激的な環境で、充実した日々を過ごしています。
本当にやりたいことをやりたいようにやっているだけなので、とにかく毎日楽しくて仕方ありません。

なので、当面は引き続きAFCで担当のグラスルーツサッカー発展に寄与していく予定です。
と言いつつも、また新しいチャレンジを見つけたら、そこに早速飛びついているかもしれません。
まあとにかく、これから何が起こるにしろ、どこに行くにしろ、楽しい毎日を送って行きたい、ただただそれだけです。

 

坂井
ありがとうございました。
久しぶりにこうして連絡を取り合えて嬉しかったです。
また日本に戻られた際は、ぜひサッカー談義しましょう!
クアラルンプールにも行ってみたいと思います!

お忙しい中、本当にありがとうございました。


人生の中で大事な「決断」をする局面はいくつかあると思うのですが、まささんの場合、下調べがしっかりできていて、ご自身の決められた考えに素直に行動されています。
それでいてどんな壁があっても必ず楽しみながらやってしまうところがまささんの一番凄いところだと感じています。

昔から気配り上手のまささんは、日本とイギリスでも誰からも愛され、そしてアジアでも絶大な信頼を勝ち得ている事と思います。

初めてビジネスのお話をさせて頂き、まささんとの差を痛烈に感じたとともに、これからはサッカー仲間としてだけではなく、ビジネスの先輩として、背中を追いかけていきたいと思います。


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