UEFAによる女子ユーロ2022のデータ ~大会後の女子サッカーの機会創出と成長~

Women’s EURO watched by over 365 million people globally | Inside UEFA | UEFA.com

2022年7月に開催された女子ユーロ2022に関する様々なデータがUEFAから発表されました。
観客動員数などは目にする場面も多かったですが、視聴数や経済効果だけでなく、ファンパーティーの活動やイングランド女子サッカーの普及に関してまでまとめられています。
※女子ユーロ2022決勝の観戦記はコチラ

女子ユーロ2022 大会データ

Women’s EURO watched by over 365 million people globally | Inside UEFA | UEFA.com

【観客数】
大会総入場者数:574,875人(イングランド以外の104の国々から110,555人が来場)
最高入場者数:決勝87,192人(1試合平均18,544人)
43%が女性サポーター、21%が16歳未満のサポーター
85%の観客がその後、代表戦や国内リーグなどの女子サッカーの試合に再来場している

【放送・視聴数】
世界で60以上の放送局、放送サービスで放送(日本では放送されなかった)
195の国と地域で視聴数3億6500万を記録(決勝だけで5,000万人が視聴)
イングランド国内では2,300万人が決勝を視聴

【ソーシャルメディア】
累計ソーシャルインタラクション 4億5300万(TikTok 38.7% Twitter21.1%)
※TikTokは大会の公式パートナー
UEFAの女子サッカーアカウントに59万フォロワー増加

【経済効果】
開催都市は約130億円(£81m)の経済効果
観客が開催都市に合計552,000日滞在

【FAイングランド レガシープログラム】
217,000人以上が開催都市で開催されたファンパーティーに参加
開催都市の学校やクラブ、コミュニティなどで40万を超す新たな女子サッカーの機会創出
14,600人が初めて女子サッカーの試合でプレー

ファンパーティー(Fan Party)

試合会場となった各都市ではファンパーティーと呼ばれるサッカーイベントが開催されました。
その都市によってイベントの規模や種類は違えど、世界中から多くのファンが集まり経済効果は約130億円にものぼりました。
もちろん短期的な経済効果だけでなく、ここで初めてサッカーを知る、プレーした少年少女やそのご家族も多く、その後、地元のチームに参加する子達もたくさんいました。
いくつかの都市のファンパーティーの様子を紹介します。

ブライトン

準々決勝でイングランドがスペイン相手に劇的な勝利をあげた会場がブライトンです。

どのファンパーティーも無料で入場できます。
下はイングランドフットボールやユーロ2022について学べるブースです。

日本の屋台のような飲食ブースやテーブルも用意されています。ブライトンの会場にはライブステージもセットされていました。

マンチェスター

大都市のマンチェスターではパブリックビューイング会場も用意されていました。

全てのファンパーティー都市では以下のようなマップやアプリが用意されており、主要空港や主要駅からのルートやどのようなイベントが行われるか簡単に知ることができます。

Event guide: Manchester Fan Festival | UEFA Women’s EURO 2022 | UEFA.com

シェフィールド

訪問はできませんでしたが、ファンパーティーの雰囲気がより伝わる動画を紹介します。

各国から訪れたサポーターへのおもてなしとサポーターが楽しんでる様子が凄く伝わってきます。

最後に

大会総入場者数574,875人は前回大会の約2倍にも膨れ上がりました。決勝の観客数87,192人は、女子のヨーロッパの国際試合の歴代最高記録だけではなく、男子を含めての記録となります。これまでの女子の記録は2012年ロンドンオリンピックの日本vsアメリカの80,203人、男子のユーロの記録は1964年まで遡り、79,115人です。

これは女子サッカーが男子サッカーの記録を塗り替えた歴史的な数字です。

イングランド女子サッカーの競技人口の増加

データでも出ている通り、今大会の観客の約半分は女性サポーターでした。単純計算とはいかないかもしれませんが、決勝を視聴したイングランド国内の2,300万人のうちの半分も女性だとしたら、1,000万人以上が決勝から何かを感じ、女子サッカーに関わろうとしているのかもしれません。
実際に85%のサポーターがその後も女子サッカーに訪れているというデータをみると、あながち間違いではないような気がします。

今大会のイングランド女子チームの活躍を見てサッカーを始めたいと思った子供達、スタジアム体験やテレビ視聴体験だけでなく、ファンパーティーを通じてサッカーを知った女子や女性など、競技人口増加のインパクトは計り知れません。

協会やリーグだけでなく、影響力のある著名人も女子サッカーに対するサポートを促しています。
決勝進出を決めた直後、イングランドサッカーのレジェンドであり、イングランド女子サッカーのアンバサダーを務めるイアン・ライトは「もし決勝で優勝したとしても、その先、体育の授業で男子同様に、女子にサッカーをする機会がうまれないのであれば、これ以上どうやって女子サッカーを普及させれば良いのか?」という力強い問いかけをテレビを通して発言し、話題になりました。

さらには、前回の記事でも書きましたが、優勝メンバー23名が共同声明として、女子も体育の授業で最低2時間はサッカーできるようにすること。学校で女子がサッカーできる環境を男子と同等にすること。を政府に投げかけました。

 

傍から見ると成功しているように思われているイングランド(欧州)女子サッカーですが、現場レベルからするとまだまだ足りておらず、今後も女子サッカーの機会平等を訴える活動は続いていきます。

それでも、スポンサー獲得と投資、女子のローカルチームやグラスルーツの環境整備、女性指導者の育成、そして女子リーグや代表チームの強化と、女子サッカーの可能性を見事に証明した功績はとても大きいと思います。
まだまだ完成形ではありませんが、一過性ではなく継続して女子サッカーに投資をし続けてきたイングランド(欧州)女子サッカーの成果の賜物です。

女子ユーロ2022は、女子サッカーの魅力だけでなく、収益性、社会的意義など、女子アスリートが持つ可能性を最大限に見せつけてくれた大会となりました。


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