Women’s association club coefficients ~欧州女子サッカーリーグのランキング~

2020-21シーズンまでのUEFA女子チャンピオンズリーグには50ヵ国(協会)、62チームが参加していた。2021-22シーズンからは50ヵ国、72チームに増える。各国のリーグには参加資格と参加枠が与えられるが、この資格と枠はWomen’s association club coefficientsというUEFAのポイント制によりランクが決められている。

このポイントはUEFA女子チャンピオンズリーグの成績により付与される。ランキング上位は参加枠が多くなり、チャンピオンズリーグの自動本戦出場権利も与えられやすくなる

新大会方式により、UEFAランク上位6リーグからは3チームに大会参加資格が与えられる。ここ10年の欧州女子サッカーリーグのランキングをまとめてみた。

UEFAランキング

現在(2019-20シーズン)のUEFAランクは以下。

【UEFAランク16位までのリーグ】
1位:フランス
2位:ドイツ
3位:スペイン
4位:イングランド
5位:スウェーデン
6位:チェコ
7位:デンマーク
8位:オランダ
9位イタリア
10位:カザフスタン
11位:ノルウェー
12位:アイスランド
13位:スイス
14位:スコットランド
15位ロシア
16位ベラルーシ

2018-19シーズンのUEFAランクを見てみると、
1位:フランス
2位:ドイツ
3位:イングランド
4位:スウェーデン
5位:スペイン
6位:チェコ

であったが、2019-20女子CLでバルセロナとアトレティコ・マドリードが躍進した事でスペインのポイントが急増し、5位から3位へとジャンプアップした。

フランスはリヨンのCL5連覇とPSGの躍進、ドイツは決勝常連のヴォルフスブルクとバイエルン・ミュンヘンの躍進もあり、2010年以降は必ずどちらかが1位でもう片方が2位となっている。

10年間の順位比較

参考:Women’s association club coefficients

1位:ドイツ
2位:フランス
3位:スウェーデン
4位:ロシア
5位:イングランド
6位:デンマーク

【2011-12】
1位:ドイツ
2位:フランス
3位:スウェーデン
4位:ロシア
5位:イングランド
6位:イタリア

【2012-13】
1位:フランス
2位:ドイツ
3位:スウェーデン
4位:ロシア
5位:イングランド
6位:イタリア

【2013-14】
1位:ドイツ
2位:フランス
3位:スウェーデン
4位:イングランド
5位:ロシア
6位:イタリア

【2014-15】
1位:ドイツ
2位:フランス
3位:スウェーデン
4位:イングランド
5位:ロシア
6位:スペイン

【2015-16】
1位:ドイツ
2位:フランス
3位:スウェーデン
4位:イングランド
5位:スペイン
6位:ロシア

【2016-17】
1位:ドイツ
2位:フランス
3位:スウェーデン
4位:イングランド
5位:スペイン
6位:デンマーク

【2017-18】
1位:ドイツ
2位:フランス
3位:イングランド
4位:スウェーデン
5位:スペイン
6位:デンマーク

【2018-19】
1位:フランス
2位:ドイツ
3位:イングランド
4位:スウェーデン
5位:スペイン
6位:チェコ

【2019-20】
1位:フランス
2位:ドイツ
3位:スペイン
4位:イングランド
5位:スウェーデン
6位:チェコ

これを見て、スウェーデンやチェコが意外だと感じる人も多いと思うが、スウェーデンはRosengårdが、チェコはSK Slavia Pragueが毎年8強に入る頑張りを見せている。
スペインとイングランドはこの10年間で確実に順位を上げて来ている。

2021-22以降、新大会方式でどう変わるか。

改めて、ランキング1位から4位を見てみると、
フランス:絶対王者のリヨンと近年4強入りを見せているパリサンジェルマン。
ドイツ:決勝常連のヴォルフスブルクと力を付けてきているバイエルン・ミュンヘン。
スペイン:昨年準々決勝で戦ったバルセロナとアトレティコ・マドリード。
イングランド:ベスト16常連のチェルシーとマンチェスター・シティ。

これらのクラブがポイント獲得に貢献している。
しかし、それぞれの国内リーグに目を向けてみると、フランス、ドイツ、スペインは近年は上記の2強時代が続いているのに対し、イングランドはチェルシーとマンチェスター・シティにアーセナルを加えた3強時代である。

新大会方式では、UEFAランク上位6リーグは予選を含めて3チームの参加資格が与えられる。
3強を要するイングランドが数年のうちにトップ3に返り咲き、さらにはトップに躍り出る事も可能である。

※2020-21シーズン終了時でイングランドがスペインを抜き、以下に順位が変わった。
【2020-21】
1位:フランス
2位:ドイツ
3位:イングランド
4位:スペイン

リーグの強化が代表の強化

ここまではUEFAランキングの上位を見てきたが、注目したいリーグ(国)が一つある。それは2019年の女子W杯で日本を倒したオランダだ。
ここ5年の順位を見てみると、
2014-15:17位
2015-16:14位
2016-17:14位
2017-18:13位
2018-19:10位
2019-20:8位
と、確実にステップアップしてきている。
各クラブの自国選手の割合が多い女子サッカーでは、リーグの強さが代表の強さに比例しやすく、実際に代表チームのFIFAランクも14位(2014年)から4位(2020年)に上がってきている。

日本女子サッカーは井の中の蛙

そして、新大会方式に限った事ではありませんが、UEFAランク50位までのリーグが予選に出場できます。つまり毎年国を超え、上位のチームと対戦するチャンスがある訳です。ジャイアントキリングを起こし、2次予選や本戦に出場できれば、より上位のチームとの対戦ができるだけでなく、選手やスポンサーは露出が多くなります。
チームは強くなり、選手はスカウトされ(スカウトでき)、スポンサー効果によりさらにクラブにお金が入るという循環が小さいながらも確実に毎年のように起きています。

ようやくAFC女子クラブ選手権が2019年に開催されたものの、それまではアジアチャンピオンズリーグの女子版がなく、国内リーグでしか戦う場所がない「なでしこリーグ(今後はWEリーグ)」は他国と戦うチャンスは代表戦以外ありません。
2011年の女子ワールドカップ優勝以降、10年もの間、他国選手の成長を知らない選手、指導者があまりにも多すぎたのではないか。まさに井の中の蛙状態だったのではないかと思います。

男子程、海外移籍が多くない女子サッカーでは、リーグの強さが国の強さにより比例します。

FIFAランクで日本よりも下位だった国にも苦戦を強いられ、上位国はさらに力を付けていたのをまざまざと見せつけられたのが2019年女子ワールドカップではないでしょうか。

ちょっと話はそれましたが、日本女子サッカー界に不安は感じつつも、純粋に女子チャンピオンズリーグを楽しみたいと思います。


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